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必読 就業規則の作成と改定 | 労務担当者1年目必読

KiteLab 編集部
2023.09.06

労務担当者が1年目に行うべき業務の一つに、就業規則の作成と改定があります。就業規則は、会社で働く上で重要な規範であり、従業員の行動指針や労働条件を明確にするための文章です。従業員は就業規則を遵守することで、会社との関係を円滑に保ち、トラブルを未然に防ぐことができます。

1年目の労務担当者は、就業規則の作成や改定に携わることで、以下のような業務を担当することになります。まずは、就業規則の作成・改定プロセスの理解が必要です。就業規則を作成・改定するためには、手順やポイント、法的要件などを理解する必要があります。1年目の労務担当者は、関連法規の把握や労働条件の調査などを通じて、就業規則の作成・改定プロセスを理解する必要があります。

就業規則とは   

就業規則は、従業員が会社で働く際に必要な賃金や労働時間などについて定められた規則集です。従業員と経営者の権利が定められ、遵守が求められます。ただし、労働基準法や労働契約法などの法律に違反している場合は、就業規則の内容が無効になることに注意が必要です。そのため、労働関連法規や判例などをしっかりと勉強していなければ、充実した就業規則を作ることは難しいと言えます。

就業規則を作成する理由とは

就業規則は、原則として従業員が10名以上いる事業場で作成する必要があります。ただし、従業員が10名に満たない場合でも、就業規則がないと職場におけるルールがなく、従業員や経営者にとって不都合な状況になります。したがって、働きやすい職場を目指すためには、事業場の規模に関わらず就業規則の作成が必要です。

入社1年目に就業規則で扱う範囲とは   

入社1年目に就業規則で扱う範囲は、就業規則変更の補助や簡易な改定、新しくできた事業場の就業規則作成などを行います。いきなり難しい業務に入ることはなく、基本的には先輩社員や、人事部長などの補助的な業務をすることになるでしょう。労務担当者1年目に就業規則で扱う範囲を、それぞれ解説します。

就業規則変更の補助    

労務担当者1年目は、就業規則の変更を補助する仕事を担当します。具体的には、人事部長や先輩社員が作成した素案を書き起こすことや、社員に新しい就業規則の内容や変更点について説明することがあります。また、必要に応じて関係書類の作成や手続きの手伝いも行います。

この仕事は企業にとって非常に重要であり、正確性や効率性が求められます。したがって、入社1年目の新人でも真摯な姿勢で仕事に取り組み、スピーディかつ正確な対応を心がけることが大切です。また、先輩社員や上司からの指導やアドバイスを受けながら、自己成長やスキルアップを目指すことも重要です。

就業規則の簡易な改定

労務担当者が1年目の場合、簡単な就業規則の改定が多くなります。例えば、社員の昼食補助の見直しや、給与改定表の差し替え資料の作成などがあります。しかし、本格的な就業規則の変更には、多くの知識と経験が必要です。そのため、1年目から単独で就業規則を変更するような仕事は少ないでしょう。

新しくできた事業場のものを作成する

労務担当者1年目の社員は、新しくできた事業場の就業規則を作成することがあります。この就業規則は、本社の就業規則を受け継ぐ形になるため、同じような内容を反映できます。事業場ごとに特殊な事情がない限り、本社の就業規則を反映したものになるため、深い知識が必要ありません。そのため、1年目でも対応できる業務となります。

1年目に知っておくべきこと    

労務担当者1年目の社員が知っておくべきことは、就業規則の文言の書き方、労働基準監督署への届け出の方法、就業規則変更に必要な書類の書き方です。それぞれについて説明します。

就業規則の文言の書き方

就業規則の文言の書き方は断定口調で書いてください。たとえば、「有給休暇は、入社半年経過後、所定労働日数の8割以上を勤務した従業員に10日間付与する」といった具合に、命令や禁止を明確に表現する断定口調で書くのが一般的な方法です。

就業規則は、社員が遵守しなければならないルールを定めるものであり、曖昧な表現や推量的な表現では、社員の遵守が不確かになってしまいます。したがって、就業規則を策定する場合には、明確で断定的な表現を心がけることが重要です。   

就業規則変更に必要な書類の書き方  

就業規則の変更には、就業規則の変更届と意見書が必要です。就業規則の変更届は、変更箇所を明記し、古い就業規則と新しい就業規則の比較表を添付して提出します。意見書には、労働者代表が意見を書きます。賛成である必要はありませんが、反対の意見でも必ず意見書を提出しましょう。労働者代表とは、過半数労働組合、過半数労働組合がなければ事業場の労働者を代表する社員です。

就業規則の届け出の仕方 

就業規則の届け出は、管轄する労働基準監督署に提出する必要があります。提出書類は2部用意し、変更届や就業規則本体には労働基準監督署の受付印を押し、1部は労働基準監督署が保管し、もう一通は会社が保管します。2部書類を用意しないと、最新の届出書が分からなくなるため、必ず押印を受けた2部書類を用意してください。

就業規則を正しく作成・整備しないことによるデメリット    

就業規則を正しく作成・整備しないことによるデメリットとして、社員への懲罰や賃金控除が出来ないなど、様々な不利益があります。就業規則を作成・整備しないことのデメリットについて、それぞれ解説します。

社員への懲罰ができない

就業規則を作成しないデメリットとして、社員への懲罰ができないというデメリットがあります。就業規則は、企業が従業員に求める行動やルールを定めたものであり、従業員が守るべきルールや規則を明確にするため、企業運営にとって必要不可欠です。就業規則がない場合、従業員がどのような行動を取るべきかが明確にならず、企業と従業員の関係が不透明になる可能性があります。

また、就業規則がない場合、社員の懲戒処分ができないというデメリットがあります。懲戒処分は、社員が就業規則に違反した場合や業務上の問題があった場合などに行われるものであり、適切なルールがなければ、懲戒処分を行うことができません。

結果として、不適切な行動や問題が放置され、企業に損害を与える可能性があります。さらに、就業規則がない場合、企業が従業員に対して求めるルールや行動が一貫していない可能性があります。その結果、従業員間での不公平感が生じたり、業務の混乱やトラブルが発生する可能性があります。就業規則を作成しないことには、企業運営や従業員の管理において、様々なデメリットがあることが示唆されます。

賃金から必要なお金を控除できない

就業規則を作成しない場合、賃金からの控除ができないという問題が生じます。就業規則には、企業が従業員に支払う賃金に関するルールや取り決めが記載され、記載されて初めて有効となります。具体的には、賃金の支払い方法や時期、昇給・昇格の条件、ボーナスの支払い条件などが含まれます。また、賃金からの控除に関する規定もあり、社会保険料や税金の控除、社員が会社から借りたお金の返済、罰金や過失による損害賠償金などが挙げられます。就業規則がない場合、企業はこれらの控除を行うことができず、財務上の問題が生じる可能性があります。また、就業規則には、給与の未払いに関する規定も含まれています。例えば、給与の遅配があった場合の遅延損害金の支払い、給与の不払いによる損害賠償などが挙げられます。就業規則がない場合、従業員に対する適切な処置ができなくなります。また、企業は従業員の賃金から必要な控除を行えず、給与の未払いや遅延に対する対応が不十分になるため、財務上の問題や従業員とのトラブルが発生する可能性があります。

労働紛争時に圧倒的な不利となる

 就業規則を作成し、労働者に周知徹底することが重要です。そうしないと、労働紛争が起こった場合に経営者が不利になることがあります。裁判所は、会社側が労働者を戒めるために行った行動が適切でない場合、企業側に非があると判断する傾向があります。就業規則があれば、労働者の行動を制限することができます。規則がない場合、会社が勝手な行動を取ったと判断されることがあります。就業規則は、本当に重要なものです。

就業規則を変更する際の注意点

就業規則を変更する際の注意点として、労働法規の勉強を徹底することや、労働者代表の意見を聞くことなどがあります。就業規則を変更する際の注意点を解説します。

最新の労働法規を徹底して勉強する

就業規則を変更する場合は、最新の労働法規を学ぶことが必要です。なぜなら、就業規則が法律に違反している場合、無効になるからです。また、裁判などで違法行為を行った印象を与える可能性があるため、就業規則は法律に違反しないようにする必要があります。最新の労働法規を必ず勉強しましょう。

労働者代表の意見を聞く

 就業規則を変更する際は、労働者代表に変更点を明確に伝え、意見を聞くことが重要です。なぜなら、労働者代表が変更内容を理解していない場合、周知徹底が困難になるからです。就業規則の変更は、労働者代表の反対にも関わらず強行することができますが、変更内容を知らない状態に陥ると非常に危険です。

常に改善していく    

就業規則は常に改善をしていく必要があるということは、労働に関する法律が時代に合わせて変化するためです。また、社員が不満を抱いていることに耳を傾け、労働環境を改善する必要があります。労務担当者1年目は難しいかもしれませんが、就業規則作りを通じて、将来的には従業員が快適に働くことができる環境を構築することができるようになりましょう。

まとめ

労務担当者1年目が就業規則の作成と改定に取り組む際の基本について解説しました。特に、社員とトラブルになった場合、就業規則を作成し、従業員に周知徹底していなければ会社側の主張は通らず、不利な状態になることが注目すべき点です。就業規則は会社を守るために必要不可欠なものであり、就業規則作成を学び、会社と従業員の権利を守るようにしましょう。

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