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36協定の残業時間の上限は何時間?上限超えの場合の対策

富田 素実
2024.03.26

キテラボ編集部の富田 素実です。

株式会社KiteRaの社会保険労務士の監修のもと、今回は「36協定の基本」や「残業時間の上限」についてご紹介します。

36協定の基本と労働時間

36協定の基本は、労働時間の理解と密接な関係にあります。本項では、36協定の基本について、36協定を理解する上で必ず押さえておきたい労働時間の知識と併せて解説します。

36協定とは

労働基準法では、労働時間の上限を「1日8時間、1週40時間」と定め(労基法32条)、休日については、「1週1日または4週4日」以上与えることを使用者に義務づけ(労基法35条)ており、これを超える労働をさせた場合には罰則が定められています。

その一方で、同法36条では、時間外労働・休日労働に関する労使協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合には、上記の労働時間を超える時間外労働および休日に労働をさせても法違反とならないものとしています(※)。この労基法36条に規定される「時間外労働・休日労働に関する労使協定」のことを「36(サブロク)協定」と呼びます。

※もっとも、36協定のみでは社員に残業・休日労働を命じることはできません。判例は、36協定で定める範囲内で一定の業務上の理由があり、労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨を就業規則に定めた場合(最一小平成3.11.28日立製作所事件)に残業を有効なものとしています。

したがって、36協定が締結されたうえで、就業規則や個別の労働契約で残業をさせる定めがある場合に、使用者は残業・休日労働を命じることが可能となります。

ここで、フレックスタイム制(労基法32条の3)や変形労働時間制等の特殊な労働形態の場合、「1日8時間、1週40時間」に縛られない労働が可能ですので、36協定の適用にならないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、例えばフレックスタイム制では、1日8時間、週40時間を超えても残業とはなりませんが、清算期間(通常1か月)を単位として残業時間の計算を行うことになります。
つまり、特殊な労働形態であっても「残業」の概念は存在するのです。
このように、労働時間が調整できる特殊労働形態でも、残業や休日出勤をさせるが発生する可能性が少しでもあるのであれば、実務的には36協定を締結し、届け出をしておく必要があります。

労働時間とは

36協定を締結する前提として、まずは現状の労働者の労働時間を把握すべきです。

ここでいう労働時間とは、労基法上の労働時間のことで、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間を指します。労働時間に入るかどうか、わかりづらい例として以下2つ挙げます。

  1. 昼休み中の電話当番や来客当番の時間

使用者の命令下に置かれていますので、労働時間に該当します(昭63.3.14基発第150)。

  1. 労働者が上司に無断で仕事を持ち帰って自宅で作業していた場合

基本的には労働時間に該当しない可能性が高いでしょう。
一方で、自宅で作業をせざるを得ない状況を上司が把握しているのにも関わらず、黙認しているような場合には、「黙示の指示」を解され労働時間と判断されることも考えられます。

また、次のような時間も労働時間に該当すると示されています(「労働時間の適正な把握のために使者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平29.1.20基発0120第3)ので、確認しておきましょう。

①使用者の指示を受けて、着用を義務付けられた所定の服装への着替えや業務終了後の清掃等を事業場内において行った時間
②指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
③参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

時間外労働とは

「1日8時間、1週40時間」(労基法32条)を法定労働時間といい、この時間を超える労働時間が時間外労働(残業)となります

ここで、「法定労働時間」と「所定労働時間」は別である点に注意しましょう。所定労働時間とは、会社で決められた労働時間のことです。
たとえば1日の労働時間について、法定労働時間は「1日8時間」ですが、会社により「1日7時間」としていることもあります。法定労働時間と所定労働時間が同じ場合はわかりやすいですが、上記のように違う場合では注意が必要です。「1日7時間」の会社で1時間残業した場合、7時間を超えて8時間までの1時間については、所定時間外労働ではあるものの法定労働時間を超えませんので、36協定がなかったとしても労基法の範囲内となり、時間外労働(残業)とはなりません。時間外労働(残業)とは、あくまでも法定労働時間を超えた労働時間をいいます。

休日労働とは

「1週1休または4週4日」の休日(労基法35条)を法定休日といい、法定休日に労働させた場合に休日労働となります

注意すべきは2点です。

まず、土日を休日とする週休2日の会社で、法定休日を日曜日と定めた場合において、土曜日に出勤させたときには、休日労働とはなりません。

次に、休日労働をさせた後に、代わりに他の日に「代休」を与えた場合には、休日労働には変わりはありませんが、「振替休日(振休)」の場合には、休日労働には該当しません(昭23.4.19基収1397、昭63.3.14基発150、婦発47)。
例えば、日曜日が法定休日の場合において、日曜日に出勤する前に翌日の月曜日と労働日を振り替えたときは、日曜日が労働日となり、月曜日が休日となります。このときは、日曜日に出勤したとしても、休日労働とはならないのです。
もっとも、振替えが当該週にできない場合は、当該週の労働日がその分増えることになりますので、当該週の労働時間が週40時間を超える場合には、その時間も残業となるため、注意が必要です。

代休と振替休日(振休)の違いは、次のとおりまとめることができます。

代休休日労働をさせた後で、代わりに他の日に休みを与えるもの
振休休日労働の前に、あらかじめ休日と労働日を振り替えるもの

(関連記事)振替休日と代休の違いについてと周辺論点

割増賃金の支払い

残業または休日労働を行った場合、使用者は割増の賃金を支払わなくてはいけません(労基法37条)。残業は2割5分以上、休日労働については、3割5分以上の割増率となります。

(関連記事)労働基準法上の割増賃金を基本から解説 

36協定における残業時間の上限

36協定では、「1日」「1ヶ月」「1年」のそれぞれについて、労働時間を延長して労働させることができる時間数を決めます。それぞれの単位における、残業時間の時間数の上限について、解説します。

1日の制限

1日の残業時間の長さについては、制限がありません
したがって、1日については、2時間でも、6時間でも、必要な範囲で協定することができます。
ただし、健康上特に有害な業務等についての残業時間は、1日2時間を超えることはできません(労基法36条1号、労規則18条)。

1か月および1年についての制限

2019年4月(中小企業は2020年4月から適用)より、残業時間の上限規制が法律に格上げされ施行されています(労基法36条3項、4項)。以前は厚生労働大臣の告示として「限度基準」が示されていたものの、実効性がないことが指摘されていました。施行後は臨時的なことがない限り、この上限を超えることはできなくなっています。

原則となる上限時間は、次のとおりです。

1か月45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)
1年360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は320時間)

臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合

通常予見することのできない業務量の大幅な増加に伴い、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合については、「特別条項」付きの36協定を定めることが可能です(労基法36条5項)。「特別条項」とは、通常の36協定の上限時間(月45時間、年360時間)を超えて、残業をさせなければならない特別な事情のために備えたものですので、残業の理由は臨時的なものに限られます。

また、特別条項を協定する場合でも、時間数は次の範囲に収まるようにしなければいけません(労基法36条6項2号、3号)。

1か月100時間未満 ※休日労働を含む
2~6か月平均いずれも80時間以下 ※休日労働含む
1年720時間以下
回数年6か月まで

(関連記事)36協定の特別条項とは?届出の手順や時間外労働の上限を徹底解説

短期労働者の上限

1か月未満の短期雇用の労働者について、36協定では1日単位、週単位の上限がないため、1か月45時間という上限を超えなければ問題ないようにも思えます。
この点、指針(「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」(厚生労働省告示323号))では目安が設けられており、「1週間で15時間、2週間で27時間、4週間で43時間」以内とする努力義務が示されています。実務的には指針の時間数を超えないよう管理していくのが望ましいでしょう。

36協定の適用が猶予されていた労働者

次の事業や業務に従事する者については、36協定の上限時間にかかる条項の適用除外または適用猶予が認められていました。
しかし、2024年4月から取扱いが変更となる部分もありますので、該当する場合は、変更点を確認しましょう。

事業・業務2024年3月31日まで2024年4月1日以降
新技術、新商品等の研究開発業務(労基法36条11項)適用除外
工作物の建設の事業(労基法139条)適用猶予原則適用ただし、災害の復旧・復興の事業についてのみ、時間外労働と休日労働の合計時間について、次の規制は適用なし ・月100時間未満 ・2~6か月平均80時間以内
自動車運転の業務(労基法140条)一部例外あり以下の3点は取り扱いが異なる。①時間外労働と休日労働の合計時間について、次の規制は適用なし ・月100時間未満 ・2~6か月平均80時間以内②特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限は960時間③時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6回までとする規制なし
医業に従事する医師(労基法141条)一部例外あり以下の4点は取り扱いが異なる。①時間外労働と休日労働の合計時間について、次の規制は適用なし ・月100時間未満 ・2~6か月平均80時間以内②特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働・休日労働の上限は、最大1860時間③時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6回までとする規制なし④医療法等に追加的健康確保措置に関する定めあり
鹿児島および沖縄県における砂糖製造業(労基法142条)原則適用ただし、時間外労働と休日労働の合計時間について、次の規制は適用なし ・月100時間未満 ・2~6か月平均80時間以内適用

その他の労働者の取り扱い

また、36協定による残業自体が認められない労働者もいます。

ア 未成年者

18歳未満の年少者については、原則として、36協定の適用が排除されています(労基法60条1項)。
ただし、満15歳以上(満15歳に達した日以降の最初の3月31日までを除く)で満18歳以上に満たない者については、1週40時間を超えない範囲内において、1日の労働時間を4時間以内に短縮することで、他の日の労働時間を10時間まで延長すること等の措置は認められています(労基法60条3項)。

イ 妊産婦

妊産婦(労基法64条の3)から請求があった場合には、時間外労働(残業)および休日労働が禁止されます(労基法66条2項、3項)。

ウ 育児・介護中の労働者

①3歳に満たない子を養育する労働者、要介護状態の家族がいる労働者
労働者が所定外労働の制限を請求した場合、原則として所定時間外労働をさせることはできません(育介法16条の8、16条の9)。

②小学校就学の始期までの子を養育する労働者、要介護状態の家族がいる労働者
労働者が時間外労働(残業)の制限を請求したときは、原則として、制限時間(1月24時間、1年150時間)を超えて時間外労働(残業)をさせることはできません(育介法17条、18条)。

エ 管理監督者

管理監督者(労基法41条2号)には、労働時間、休憩、休日に関する規制が適用されませんので、時間外労働(残業)や休日労働という考え方がありません。
ただし、企業における全ての管理職が労基法上の管理監督者に当たるわけではありませんので、取り扱いには注意が必要です。労基法上の管理監督者は、職務上の権限、勤務のあり方、賃金等の処遇に応じて判断されることになります。

36協定の締結と届出

36協定の締結は、会社ごとではなく事業場単位で締結し、届け出が必要です。支店や営業所など複数の事業場がある場合には、それぞれの事業場で36協定の手続きをしなければいけません。事業場ごとの協定の当事者、作成にあたって留意すべきこと、届出の方法について解説します。

協定の当事者

36協定は事業場単位で作成し、締結しなければいけません
つまり、本社のほか、支店がある場合には、それぞれの事業場で36協定を締結する必要があります。

また、労働者側の締結当事者は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合(過半数労働組合)、そのような労働組合がない場合には、労働者(非正規のアルバイトやパートタイマーを含みます)の過半数を代表する者(過半数代表者)となります。

過半数代表者は、

  • 全ての労働者の過半数の代表であること
  • 管理監督者(労基法41条2号)でないこと
  • 36協定の締結をすることを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと(労基法施行規則6条の2)

の3つの要件を満たす必要があります。過半数代表者の選出手続きが適正でない場合、36協定自体が無効なものと判断される可能性もありますので注意が必要です。

なお、本社の代表取締役と労働組合の本部の委員長が36協定を締結した場合において、この労働組合が各事業場においても過半数を超えているときは、有効なものとして取り扱って差し支えないとされています(昭24.2.9基収4234)。

36協定の作成

36協定は、次の内容を書面で協定をする必要があります(労基則16条1項、2項)。

例えば、⑥では「1日5時間」「1か月45時間」「年360時間」などと、残業時間の上限を定めることになります。

①時間外労働又は休日の労働をさせる必要のある具体的な事由
②業務の種類
③労働者の数
④1年間の起算日
⑤有効期間(労働協約の場合を除く)
⑥1日、1か月(1日を超える一定の期間)、1年について延長ができる時間又は労働させることのできる休日数
⑦休日労働も含め、月100時間未満、2~6か月平均で80時間以内とすること

36協定を作成するにあたって、留意すべき事項が指針(前述の36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針)で次のように示されています。ここでは一部のみ紹介いたしますが、残業を可能な限り少なくするよう努めなければならないことがわかるかと思います。

①時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめること
②36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負い、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まることに留意すること
③時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にすること
④臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45時間、年360時間)を超えることはできないこと
⑤限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保すること

36協定届の届出と労働者への周知

36協定における「時間外労働・休日労働に関する協定書(労使協定書)」と「時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号)」は別物で、36協定届については、労基法施行規則に定められた様式(様式第9号、特別条項付き36協定については様式第9号の2)となります。必要事項が網羅されていれば異なる様式で届け出ることも可能ですが、厚労省から提供されている書式で届け出ることが一般的でしょう。

届出方法は、次のいずれかの方法によって、有効期間の開始前に所轄労働基準監督署長に届け出ます(労基則16条1項)。

①窓口持参
②郵送
③電子申請

①または②の書面で提出する場合、原本とコピーを提出(郵送の場合には返信用封筒も添付)することで、受理印を押印して返してもらえます。

③の電子申請について、かつては電子証明書がないと電子申請をすることはできませんでしたが、2021年4月より電子証明書の添付が不要となったため、以前よりも利用しやすいものとなっています。事業場ごとに過半数代表者を選出している場合でも、本社での一括の届出が可能となっており、この点が電子申請のメリットです。

届出先は、事業場の管轄する労働基準監督署長となっています。複数の支店や営業所がある場合は、それぞれの事業場の管轄する労働基準監督署に届け出をすることが原則となっています。
ただし、本社と本社以外の事業場の協定が全く同じ内容である場合には、本社が各事業場分も一括して本社を管轄する労働基準監督署長に届け出ることが可能です(平15.2.15基発0215002)。
具体的には、事業の種類、事業の名称、所在地、労働者数以外の事項が全て同一でなくてはならず、協定の当事者となる労働組合の名称、使用者の職名も同一でなければいけません。

労働基準監督署への届出が完了したら、就業規則の変更時と同様、労働者への周知をしましょう(労基法106条1項)。

なお、36協定については、対象期間の終了から5年間(当面の間は3年間)保存が必要です(労基法109条、労基則56条1項5号)。

36協定の上限超えとその対策

36協定の上限時間を遵守していくのは、当然のことです。
しかし、予期しないトラブル対応等によって、上限時間を超えてしまいそうになることはあるかもしれません。上限超えのリスクと上限を超えないための対策について解説します。

上限超えは罰則の対象

有効な36協定がない場合や36協定の残業時間・休日労働の上限を超えた場合には、労基法違反となり、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります(労基法119条)。上限超えについては、労働基準監督署の調査(臨検)や労働者等からの通報によって発覚する場合が多いでしょう。労災(業務災害)の手続きから、長時間労働が要因となっていると労働基準監督署が判断した場合に、臨検につながっていくケースもあります。

罰則の適用は、法人ではなく、工場長や部門長など、責任者個人が対象となります。すぐさま罰則が適用されるケースはあまりないかとは思いますが、労基署がその事実を知った場合には是正勧告の対象となり、即時の是正を求められるでしょう。
いずれにしても、上限超えがわかっているのであれば、来年度の36協定の見直しや社内の人員配置も含めた対策を至急講じる必要があります。

上限超えの対策について

特別条項を含んだ上限を超える可能性が出てきた場合、どうしたらよいでしょうか。
例えば、月60時間を上限とした特別条項付きの36協定を締結した場合において、36協定の有効期間内に、月70時間に引き上げたいと思っても、変更することはできません。36協定は有効期間の前に届ける必要があるため、過去に遡って有効期間内の時間数を変更することはできないのです。

また、使用者は労働者の労働時間を把握する義務があります(安衛法66条の8の3)。
したがって、36協定の上限時間を超えないように労働時間を常に管理していくほかにありません。

実務的には、上限を超える前の対策が重要となってきます。
例えば、一定の残業時間数に達した場合に、アラートが出るようにする、労働者と管理職で面談を設けて業務の状況を確認する等の社内の対応が必要でしょう。

なお、特別条項については、「臨時的に限度時間を超えて労働させることが出来る場合」に該当しており、「限度時間を超えて労働させる場合における手続」を取らないと特別条項が適用になりません。
例えば、この発動手続きを「労働者代表に対する事前申し入れ」としている場合、「事前申し入れ」の手続きがない限り、特別条項が適用にはならないのです。 
したがって、上限超えの対策として、原則となる月45時間、年360時間の上限を超過する前のタイミングで社内の対応を行う必要があり、こまめに残業・休日労働の時間数を把握していく必要があります。

編集後記

2016年には大手広告代理店の過労自殺の事件が注目を集めました。過労死や過労自殺の要因となっている長時間労働に対する対策として労基法でも法改正が行われ、法律に36協定の上限が定められた経緯があります。
また、過労死レベルの残業時間でなくても、月45時間を超える場合には、健康障害のリスクが高まっていくことが医学的な検討結果のうえで示されています(「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平18 . 3 .17基発第 0317008、最終改正令2.4.1日基発 0401第11、雇均発 0401第4)。

前述したとおり、使用者は労働者がどれくらい働いたのか、その労働時間を把握する義務を負っており、労働者の労働時間を把握することは、36協定の上限を超えないようにするためにも、労働者の健康を配慮するうえでも非常に重要なことです。

そのためには、こまめに労働者の労働時間を把握し、長時間労働対策を行うと共に、長時間労働によらない生産性の向上を目指していくことが必要でしょう。

この記事を書いた人

富田 素実
キテラボ編集部

株式会社KiteRa 編集チーム所属。

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