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労働安全衛生法の基本、ゼロ災害を目指して | 労務担当者1年目必読

KiteLab 編集部
2023.10.06

労務担当者1年目が行うべき業務として、労働安全衛生担当者の業務があります。企業によっては工場人事の担当者が行うケースもありますが、本社人事部門の社員が安全衛生の担当者となり、業務をすることもあります。

安全衛生担当者の業務は、安全衛生委員会の事務局から、工場のパトロールを行って危険個所を発見するなど、様々な仕事があります。今回は、労務担当者1年目が行うべき労働安全衛生法の基本について解説します。

労務担当者1年目からゼロ災害を目指そう!

労務担当者1年目からゼロ災害を目指して仕事をしましょう。なぜなら、労災は一件でも起こしてはならないものだからです。

労災の発生は従業員の健康に甚大な被害をもたらします。また、それだけではなく、労災を頻繁に起こす企業のイメージは悪くなり、会社全体に影響を及ぼします。労災を1件も起こさないように仕事を推進しましょう。

なぜ労働安全衛生法は重要なのか?

労務担当者が1年目のときには、労働安全衛生法を学ぶことが非常に重要です。その理由は、この法律には企業が守るべきルールや、従業員の安全を守るために必要な事項が記載されているからです。

例えば、労働安全衛生法は、労働者の健康と安全を守るための法律です。労務担当者がこの法律を理解し、適切な対策を講じることで、労働者の安全を確保することができます。
また、労働安全衛生法は企業にとって法的な義務となっています。労務担当者は、労働安全衛生法を遵守するためのルールや規制を学び、企業が法律に従っているかどうかを確認する役割を担っています。

労務担当者1年目が知るべき事業主の義務

労務担当者1年目が知るべき事業主の義務としては、責任者の設置や、安全衛生委員会の運営など、様々な義務があります。

それぞれについて解説します。

責任者設置

事業主には、従業員数に応じて責任者を設置する義務があります。
例えば、従業員数が50名以上の場合、衛生管理者や産業医を設置する必要があります。安全管理者については、法定業種かつ従業員数が50名以上の事業所が対象となります。また、安全衛生推進者は、常時10名以上かつ50名未満の従業員数の事業所が設置の対象となります。

※産業医の詳細については「労働安全衛生法上の産業医の役割とは」の記事をご参考ください。

安全衛生委員会

安全衛生委員会は、常時50名以上の従業員が在籍する事業所ごとに設置する義務がある会議です。
会社で起こった労災や、ヒヤリハット、KYの集計や、安全衛生に関する情報などを工場長や製造に関わる部長や課長などと共有する会議となります。
月に1回のペースで行う企業もあり、経営上重要な機能会議という立ち位置に置かれることもあります。労務担当者1年目で関わる場合、安全衛生委員会の議事録作成などの仕事が最初の仕事となることもあります。

労災を防止する活動

労災を防止するための活動は非常に重要であり、労務担当者が1年目から任される可能性があります。なぜなら、労災を防止するための活動は全社で取り組むべき問題であり、入社年次に関係ないからです。

たとえば、組織全体で安全意識を高め、安全な作業環境を実現することが必要です。労務担当者は、1年目でも組織の安全文化を形成する重要な役割を果たせます。
また、労務担当者は従業員とのコミュニケーションを通じて労災のリスクや問題を把握し、適切な対策を講じることができます。特に新入社員や若手従業員に対しては、労災防止の重要性や安全な作業方法について教育することが重要です。

社員への安全衛生教育実施

新入社員に対する安全衛生教育の実施は、非常に重要な業務です。新入社員は組織に入社する前に基本的な安全衛生知識を持っていない場合が多いためです。

労務担当者は、新入社員に対して労働環境や安全に関する教育を提供し、安全な働き方を身につけるための指導やガイダンスを行う役割を担います。例えば、重量物を持ち上げる際の腰の使い方や、仕事中にケガをしないために気をつけるべき点など、様々な注意点を伝えていきます。
さらに、労務担当者は新入社員に対して、労働安全衛生法や労働基準法などの法的な要件や規則を丁寧に説明し、遵守することの重要性を教育することが必要です。
これにより、新入社員が法令を遵守しながら働くことができるようにサポートします。

また、労務担当者は新入社員に対して潜在的な危険やリスクを認識させ、事故予防のための適切な対策や安全な作業方法についても丁寧に教育します。
こうした取り組みにより、新入社員の安全意識が高まり、事故を未然に防ぐことができます。

健康診断業務

 健康診断業務は、従業員の健康状態を維持するために非常に重要な業務であり、労務担当者1年目でも任される可能性があります。
従業員数が多い企業では、複数の日程を設けることもあります。健康診断のためのバスを会社の駐車場に用意したり、会場の設営など、当日は非常に忙しくなることが予想されます。そのため、段取り良く健康診断を実施することが必要です。

ストレスチェック実施

ストレスチェックは、従業員数50名以上の事業所で実施する義務のある検査です。

ストレスチェックは、従業員の心理的な負荷やストレスの状況を把握し、適切な対策を講じるための手段です。ストレスチェックは、従業員の心身の負担状況などを明らかにし、必要に応じて産業医面談や仕事上重要な配慮を行うなど、様々な対策を取るためのものです。

健康診断の種類

健康診断には、一般健康診断と、特殊健康診断があります。

それぞれについて解説します。

一般健康診断

「一般健康診断」とは、従業員の健康状態を診断するために、労働安全衛生法によって定められた定期的な健康診断のことです。雇用時や会社が指定する時期に実施することが義務付けられています。
また、深夜時間帯に仕事をする従業員に対しては6ヶ月に1度健康診断を受診させる義務があります。

特殊健康診断

特殊健康診断とは、身体への悪影響を及ぼす可能性がある職場で働く従業員に対して実施する必要性がある健康診断のことを指します。

たとえば、有機溶剤を扱う職場や、放射線を扱う職場などで仕事をする場合は特殊健康診断を受診させる義務があります。

労働安全衛生法は刑事罰がある重い法律

労働安全衛生法は、従業員の命を危険にさらす行為であるため、刑事罰がある重要な法律です。この法律には、違反行為に対して罰則が設けられており、罰金や刑事罰が含まれます。

刑事罰は、違反行為の重大さや社会的な影響を反映しており、違法行為を抑止するための重要な措置となっています。また、労働安全衛生法に違反する行為は、企業の社会的責任や信頼性にも関わるため、法令遵守や適切な安全対策の実施は、企業の信頼性や社会的な評価に影響を与える重要な要素となります。

従業員の安全を最優先に考え、法令遵守を徹底することが、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。

労務担当者1年目から安全意識を高める方法

労務担当者1年目から安全意識を高めるためにできる方法として、工場や事務所の観察、警察署との連携などがあります。

それぞれについて解説します。

普段から工場や事務所をよく観察する

労務担当者1年目が安全意識を高める方法として、普段から工場や事務所をよく観察することが有効です。なぜなら、工場や事務所をよく観察することで、潜在的な安全リスクや危険箇所を早期に発見することができるからです。

例えば、不安全な作業状況や物品の不適切な配置、危険な作業手順などを観察し、改善策を提案することができます。早期のリスク発見と改善は、労働環境の安全性を向上させるために重要です。
また、工場や事務所を観察することで、従業員が安全ルールや規定を遵守しているかどうかを確認することができます。たとえば、安全装置の使用、個人防護具の着用、作業手順の遵守などを観察し、必要な指導や教育を行うことができます。

ルールや規定の遵守は、労働者の安全確保に欠かせない要素です。

警察署に通勤経路内でよく交通事故が起こる箇所を教えてもらう

労務担当者には、1年目から重要な役割があります。その中でも、警察署から通勤経路内でよく交通事故が起こる箇所の情報を提供してもらうことは、従業員の安全に直結する重要な取り組みです。

通勤中の交通事故は、従業員にとって大きなリスクとなります。そのため、最小限のリスクに抑えるためには、適切な対策が必要です。
警察署から提供される通勤経路内の事故情報は、危険箇所を特定し、従業員に注意喚起する上で役立ちます。

製造現場の管理職と普段からコミュニケーションをとっておく

労務担当者として、1年目から製造現場の管理職とコミュニケーションを取ることをお勧めします。なぜなら、安全管理業務では、現場からの協力が必要な場面が多々あるからです。

例えば、安全衛生管理を徹底するためには、課長や係長が現場の従業員に指導を行う必要があります。普段からコミュニケーションを取っていると、現場の従業員から積極的に協力を得られることが多くなります。

他の企業の安全対策を勉強しにいく

安全対策を学ぶため、他社の現場を見学しましょう。そこで学んだことを自社の安全対策に取り入れることができます。他社の成功事例を見て、自社でも実践しましょう。

まとめ

労務担当者1年目には、労働安全衛生法や労災防止活動に関する知識が求められます。労災防止の重要性や労働安全衛生法の違反には刑事罰があることを理解する必要があります。

労災を防止するための活動は重要であり、労務担当者1年目から任される可能性があります。労災防止は全社で取り組むべき問題であり、入社年次に関係なく関与する必要があります。労災防止のためには、安全教育や安全設備の整備、リスク評価など様々な取り組みが必要です。

特に、新入社員への安全衛生教育実施は労務担当者1年目から関与する可能性があります。新入社員の安全意識を高めるためには、適切な教育プログラムの策定や安全ルールの周知、事故事例の共有などが重要です。

労務担当者1年目からゼロ災害を目指して努力しましょう。

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