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人事評価制度とは?概要や仕組み・種類など知るべき基本を解説

KiteLab 編集部
2023.04.04

社員のパフォーマンスや働きぶりを給与や賞与などの処遇に反映させる人事評価制度。多くの企業で導入されていますが、人事評価制度の概要を簡潔に知りたい人事担当者もいるのではないでしょうか?

本記事では、人事評価制度の概要や目的、仕組み・種類など制度の基本を簡単に解説します。

人事評価制度とは

人事評価制度とは、一定期間における職務の成果やプロセスを対象に、一定の基準によって社員を評価する制度です。一般的には、毎年、評価者が実施した評価結果に対し、一定の評価調整の上、昇格や昇進、等級格付け、報酬など、社員の処遇に反映します。

本質的な人事評価制度の役割・目的3つ

人事評価制度の目的は、社員の評価・処遇決定だけではありません。ここでは、本質的な人事評価制度の役割・目的を3つ紹介します。

【目的1】人材育成のため

一つ目は、人材育成です。会社の求める人材を育成するため、行動特性や能力・スキルなどの評価基準を明確化します。これにより社員は、どのように成長していけば良いかを理解することが可能です。また、上司が部下を育成する際の拠り所になるメリットもあります。

【目的2】事業戦略実現のため

二つ目は、事業戦略実現です。企業には、会社全体の「経営戦略」、経営戦略を実現するための「事業戦略」があります。この事業戦略は、「開発」「生産」「人事」「財務」など、企業の各事業部門における個々の戦略です。

人事評価制度は、「人事戦略」の手段であり、例えば、「新規事業を立ち上げる場合は、成果評価は中長期にする」など、事業戦略を実現するためのツールとなります。

【目的3】企業文化を醸成するため

三つ目は、企業文化の醸成です。求める人材像が明確でない、早期離職が増えているといった場合、自社の企業文化が今の世代に受け入れられず、企業文化が醸成されていないこともあるでしょう。

この企業文化を醸成させる手段として、人事評価制度を活用することが可能です。近年では、企業が求める価値観を浸透させるため、企業の価値観を落とし込んだ「行動規範」に沿った行動を評価する「バリュー評価」を導入する企業も多くあります。

人事評価制度の仕組み 3つの構成要素

人事評価制度は、昇給や昇格、降級などの基準を示し、社員を処遇する役割を担います。ここでは、この役割を担う人事評価制度の3つの構成要素を解説します。

  • 等級制度
  • 評価制度
  • 報酬制度

順を追って説明します。

等級制度

等級制度とは、「能力」「職務」「役割」の基軸で従業員を序列化し、職務遂行の権限や責任、処遇のベースとなる制度です。この等級制度には、人を基準とする「職能資格制度」、仕事を基準とする「職務等級制度」、役割を基準とする「役割等級制度」があります。いずれも、等級が上昇するほど序列が高くなる仕組みです。

社員が「自身の階層で求められていること」や「次の階層に上がるための要件」を知ることができるように設計します。人事評価の結果を等級格付けに反映するように、「評価制度」と連動しています。

評価制度

評価制度とは、成果やプロセスを評価し、社員の処遇を決定するための制度です。具体的には、一定の評価基準に基づき、評価者となる上司が社員の業績や能力、業務遂行プロセスを評価します。この評価結果を昇給や賞与、等級格付けに反映するように、「等級制度」と「報酬制度」に連動しています。

報酬制度

報酬制度とは、評価制度・等級制度における結果に基づき、社員の報酬を決定する制度です。一般的には、単年度の評価結果を該当年度における社員の昇給・賞与に反映するほか、等級格付け毎の報酬テーブルに基づき、報酬を決定します。

知っておきたい人事評価制度の種類

人事評価制度には、目的に応じたさまざまな種類があります。ここでは、主な人事評価制度の種類を次のとおり解説します。

  • MBO
  • OKR
  • 360度評価
  • コンピテンシー評価

順を追って説明します。

MBO

MBO(Management by Objectives)は、最も普及している人事評価制度で、設定した目標に対し、プロセスや成果によって評価する目標管理手法です。この目標は、「会社目標→部署目標→個人目標」というように、階層ごとに目標設定を行います。

会社目標を達成するため、目標を細分化して「社員自ら個人目標を設定する」ことがMBOのポイントです。これにより、企業のあるべき方向性を統一できるメリットがあります。

OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、MBOと同様に目標管理手法のひとつで、会社目標を高次元で達成するために用いられる目標管理制度です。MBOは年度単位で目標設定・評価しますが、OKRは、高い頻度で目標を設定し、追跡・再評価することに違いがあります。

また、チャレンジングな目標設定をすることを前提に、目標水準は6〜7割で達成という「ストレッチゴール」を理想としています。これにより企業は、高い次元の会社目標を目指すことができるのです。

360度評価

360度評価とは、上司や部下、同僚など多方面の立場の人が評価する多面評価制度です。この制度の特徴は、「部下→上司」「同僚同士」の評価もなされるため、上司からの一方的な人事評価の不満を解消できる手段として注目されています。

しかし、部下から評価されることから上司が萎縮してしまい、上司が適正な業務指導を行えないといった事態に陥らないよう、運用面で留意することが必要です。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、高業績を上げているハイパフォーマーのコンピテンシー(行動特性)を評価指標とする評価手法です。

このコンピテンシー(行動特性)を調査・分析し、作り上げたコンピテンシーモデルをベースに評価基準を作成することで、企業の求める人材の育成が可能になります。また、採用選考のスクリーニングにもコンピテンシーを活用することで、自社で活躍できる人材かを客観的に見極めることにも活用できるメリットがあります。

まとめ

本記事では、人事評価制度の概要や役割・目的のほか、3つの構成要素、種類など制度の基本を解説しました。人事評価制度は、社員個人を評価して社員の処遇に反映する評価の枠組みですが、本質的には「人材育成」や「事業戦略の実現」が目的です。まずは、自社に適した人事評価制度を知るために、本記事を参考に人事評価制度の基本を押さえましょう。

この記事を書いた人

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株式会社KiteRaの中の人

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