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労働条件通知書に記載すべき項目は?電子メールによる「送信」の考え方も解説

KiteLab 編集部
2023.05.11

会社と労働者が雇用契約を締結する際、労働者に労働条件を明示しなければ紛争が生じる可能性があります。また、会社と労働者との間で、労働時間や賃金等に関する労働条件の認識に違いがあれば、労働者のモチベーションが下がることもありえます。

そのような紛争を防ぐため、労働基準法では「使用者は、労働者と雇用契約を締結する際に労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。労働条件のうち一定の事項については、書面の交付等によって明示しなければなりません。労働条件を明示しなければならない労働者は、正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員などのすべての労働者です。

今回は、労働条件通知書に明示すべき事項とともに、法改正により可能となった電子メール等による交付についても解説します。

2024年4月に改正された「労働条件の明示ルール」については、「労働条件の明示ルールとは? 明示すべき項目と法改正を説明」をご確認ください。

労働条件通知書とは

労働条件通知書とは、賃金や労働時間等の労働条件が記載された書面で、労働者に交付をするものです。労働基準法第15条の規定により、使用者は労働者と雇用契約を締結した際に労働条件を明示する必要があり、一定の労働条件については、書面の交付によって明示しなければなりません。書面の交付が求められている理由は、例えば、口頭での説明であると曖昧になり、労働者に正確に労働条件が伝わらない可能性があるため、労働者に確実に認識させるためです。

雇用契約書との違い

労働条件通知書は労働基準法第15条(労働基準法施行規則第5条)によって明示すべき事項が法律上きまっており、労働者に交付が必要とされている書類です。

一方で、雇用契約書について規定された条文はありません。雇用契約書に記載すべき事項は法律上決まっておらず、労使双方に作成の義務は課されていません。雇用契約は民法第623条に規定されている契約の一種であり、口頭でも成立します。もちろん、書面によっても成立するため、雇用契約書を作成することも可能です。

企業によっては、「雇用契約書兼労働条件通知書」という名称の、雇用契約書と労働条件通知書を兼ねた書類を作成する場合もあります。

明示すべき労働条件

ここでは、労働条件のうち明示すべき事項について解説します。労働条件には、 必ず明示しなくてはいけない「絶対的明示事項」と、定めをするのであれば明示しなければならない「相対的明示事項」に別けられます。

絶対的明示事項

労働基準法第15条によって、労働者に必ず明示すべきとされている労働条件に関する事項は下記の通りです。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  3. 就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無
  5. 休憩時間、休日、休暇
  6. 労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
  7. 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  8. 退職に関する事項

絶対的明示事項である労働契約の期間、就業場所、労働時間、賃金、退職に関する事項等については、労働条件のうち特に重要な事項であり、また、トラブルにつながりやすいため、必ず明示する必要があります。また、「昇給に関する事項」を除いては、書面による交付が義務付けられています。

なお、パートタイム有期雇用労働法*により、パートタイマーや有期雇用労働者に対しては、①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無 ④パートタイマー・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口に関する事項について書面で交付する必要があります。

*正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則

相対的明示事項

相対的記載事項としては下記のものがあげられます。

  1. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  3. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  4. 安全及び衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰及び制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項労働条件通知書への記載が必須ではないものの、なるべく記載しておくのが望ましい相対的明示事項として下記が挙げられます。

電子メール等での交付が可能にー「送信」の考え方

従来、労働条件通知書は書面によって交付することが義務付けられていましたが、2019年4月の法改正により、労働者が希望した場合には、電子媒体によって交付することが可能となりました。つまり、書面に代えて電子メールやSNS等を利用して送信することで労働条件を明示することが可能です。

電子メール等での「送信」によって労働条件を明示することが可能になったものの、労働者が受信拒否をしていたり、送付したメール等が迷惑メールフォルダに移動している等、労働者が送付したメールに気づかなかない場合もあるかと思います。このような場合であっても、受信履歴等から電子メールの送信等が行われたことを労働者が認識できるのであれば、電子メール等の「送信」に該当するものと解されます。ただし、労働条件の明示に関する労使トラブルを防ぐため、会社があらかじめ労働者に対し、上記の設定になっているかを確認する等の配慮も必要になります。

行政通達:平成30年12月28日 基発1228第1号

まとめ

労働条件通知書は、企業側と労働者との間で起こる認識相違を防ぐための重要な書類です。

労働時間や賃金は、労働条件のうち特に重要な事項ですので、曖昧な状態だと、入社後に思わぬトラブルに発展する場合もあります。

労働者に書面交付等による明示を行い、労使間による認識の違いが起きないようにしましょう。

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