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労働時間管理と時間外労働の適正化 | 労務担当者1年目必読

KiteLab 編集部
2023.08.30

労働時間を適正化し、時間外労働を削減することは、非常に重要なテーマとなっています。なぜなら、働き方改革の影響などにより、残業そのものをしてはいけないという風潮となってきているためです。残業時間が短くなることで、効率な仕事ができ、生産性がアップする可能性があるなど、様々なメリットがあります。

今回は、労務担当者1年目が考えるべき労働時間管理と時間外労働の適正化について解説します。

労働時間の適正化と、時間外労働の削減は重要な労務管理上のテーマ

労働時間の適正化と、時間外労働の削減は、労務管理上の重要なテーマとなります。ここでは、社員の健康管理のために残業時間を削減すべき理由や、職種ごとの違いについて解説します。

社員の健康管理のために残業時間は削減すべき

基本的には、社員の健康管理のために、残業時間は削減すべきです。なぜなら、従業員の健康を害してしまうと、企業は生産性を維持できなくなるからです。たとえば、長時間の残業は、ストレスや過労を引き起こす可能性があります。

過度なストレスは心身の健康に悪影響を及ぼし、うつ病や不眠症などのメンタルヘルスの問題を引き起こすことがあります。適切な休息と労働時間のバランスを取ることは、従業員の健康を守る上で非常に重要です。

また、長時間の残業は、従業員のプライベートな時間や家族との関係に悪影響を与えることがあります。適度な労働時間を確保することで、従業員は仕事とプライベートの間のバランスを取りやすくなります。充実したプライベートの時間は、従業員の幸福感や仕事へのモチベーションにも影響を与えることがあります。

労働時間は何時間が最も生産性が高いか調べる

労務担当者1年目から意識的に取り組むべき課題として、労働時間は何時間が最も生産性が高いかを調べるという課題があります。なぜなら、どれくらいの労働時間が最も売上や業務効率が高いのかは、企業ごとに事情が異なるためです。

たとえば、売上高の高い部署の総労働時間を調べ、それをもとに仮説を立てて、対策をする方法があります。労働時間が長いほど売り上げが上がっていれば良いですが、反対に下がっている場合、長時間労働が企業の成長を阻害しているということです。

現場と事務職での違いに着目する

営業職や製造現場などと事務職を比較し、仕事の性質に着目することは、労務担当者1年目において極めて重要なことです。なぜなら、営業職や製造現場では、稼働した分だけ売上を生み出す可能性がある一方、事務職は直接的な利益をもたらす可能性が低いためです。

そのため、事務職で過重労働になっている場合は、早急に対策を講じる必要があります。たとえば、業務プロセスや手順の見直しを行い、無駄な作業や手作業を減らすことで、業務の効率化を図ります。必要に応じて、自動化ツールやシステムを導入することで、業務の効率化と時間の節約が可能となります。

また、チーム内でのコミュニケーションと協力を促進し、業務の負荷を均等に分担することが重要です。適切な役割分担を行い、各メンバーが得意な分野や能力を最大限に活かせるようにすることで、効果的な業務遂行が可能になります。

労務担当者が1年目から考えておくべき課題

労務担当者が1年目から考えておくべき課題には、残業が果たして完全に悪いと言えるのかどうかといったことや、短い労働時間で高い生産性を維持できる業種かどうかなど、様々な課題があります。それぞれについて解説します。

残業は果たして完全に悪いと言えるのかどうか

残業が完全に悪いことなのかどうかは、労務担当者が1年目から考慮すべき重要な課題です。なぜなら、残業が完全に悪いことかどうかは一概には言えないからです。

例えば、従業員の中には高いモチベーションで働き、体力に余裕のある人々がおり、積極的に仕事をして、高品質な成果を出し、企業の業績に貢献したいと考える人材もいます。

そのため、どのようなケースで残業が必要であるか、許容範囲を明確にする必要があります。

短い労働時間で高い生産性を実現できる業種かどうか

短い労働時間で高い生産性を実現できる業種なのかどうかについて、労務担当者は1年目から考えておくべき必要性があります。なぜなら、業種により、どうしても労働時間が長くなってしまう企業も存在するためです。

たとえば、製造業や農業など、一部の業種では生産ラインや作業の性質上、労働時間を短縮することが難しい場合があります。このような業種では、業務プロセスや作業フローを見直し、無駄な動きや待ち時間を削減することで、労働時間の効率化を図ることが重要です。生産ラインの改善や設備投資なども検討することで、生産性の向上が期待できます。

一方で、IT産業においては、労働時間を短縮しながら高い生産性を実現できる可能性があります。IT産業は技術の進化が速く、自動化や効率化が進んでいます。そのため、労務担当者は業務プロセスの自動化や効率化のためのツールやソフトウェアの導入を検討し、従業員の負担軽減と生産性向上を図ることができます。

経営陣はどのように残業について考えているのか確認する

労務担当者以上に重要なことは、経営陣が残業についてどのように認識しているのかを確認することです。なぜなら、労務担当者は基本的に経営陣の考え方を汲んで動くことが求められるためです。

経営陣が残業に関して寛容なのか、許されないと考えているのかはしっかりと確認するようにして下さい。

労働時間を適切に管理する方法

労働時間を適切に管理する方法として、勤怠管理を効率化することや、残業を申請制にするなどの方法があります。それぞれについて解説します。

勤怠管理を効率化する

勤怠管理をソフト導入などで、効率化することを検討しましょう。なぜなら、勤怠管理ソフトがあれば1クリックで労働時間を取り出せるためです。月の半ばで36協定に違反しないかどうかのチェックなど、様々なことに活用できます。

残業は申請制にすること

残業については、課長職や係長職などに申請し、許可を得ることが必要な体制を作ることが大切です。なぜなら、残業は許可されていなければ行うことができないからです。もし残業が許可されない場合は、社員に定時で帰宅するように伝えるようにしましょう。

業務分掌を作るなど各部署に工夫を依頼すること

労働時間を短縮するためには、各部署で業務分掌を作成するなど、様々な取り組みが必要です。なぜなら、業務分掌があることで、各人が担当するべき仕事や工数が明確になるからです。業務分掌を作成することで、各人の担当業務や責任範囲が明確になります。これにより、従業員は自分の仕事内容や優先順位を把握しやすくなり、効率的に作業を進めることができます。

また、業務の負荷を均等に分散することで、個々の従業員の負担を軽減することも可能です。さらに、業務分掌により、各人の担当範囲や業務量が明確になることで、従業員のワークライフバランスの実現が促進されます。業務負荷の適切な配分やタスクの見える化により、労働時間や休暇の管理がしやすくなり、従業員の働きやすさが向上します。

労働時間を適正化するためにやるべきこと

労働時間を適正化するためにやるべきこととして、仕事の効率化を会社全体で進めることや、不必要な仕事は思い切って削ると言った改革が必要となります。それぞれについて解説します。

仕事の効率化を会社全体で進める事

労働時間を適正化するためには、会社全体で仕事の効率化を進めることが不可欠です。なぜなら、会社全体で取り組むことにより、生産性向上や仕事の質の向上が期待できるからです。

たとえば、業務プロセスの見直しや改善、効率化のためのツールやシステムの導入、従業員のスキル向上や教育、コミュニケーションの改善など、会社全体での取り組みが労働時間の適正化に貢献します。会社全体で仕事の効率化を進めることで、同じ時間内でより多くの仕事を達成することができます。

業務プロセスの見直しや改善により、無駄な手続きや待ち時間を削減し、タスクの優先順位を明確化することができます。効率的な業務遂行により、生産性が向上し、労働時間の適正化が実現されます。

不必要な仕事は削る

不必要な仕事を削減することで、労働時間を短縮することが期待できます。なぜなら、不必要な仕事を削減することで、従業員は本当に重要なタスクやプロジェクトに集中できるようになり、時間やエネルギーを無駄にしなくて済むからです。その結果、業務の効率化が促進され、生産性が向上します。生産性の向上は、企業の成果や競争力の向上につながります。

残業時間が長い部署は人員を増強する

残業時間が長い部署には、人員を増強する方法があります。残業時間が長いということは、業務に対して人手不足が原因であることが多いためです。たとえば、通常5名で回している部署で平均残業時間が40時間を超えそうなら、人を増やすなどして対応することが重要です。そして、この部署に必要な人数を正確に割り出すためには、データをしっかりと測定することが必要です。データを測定することで、必要な人員を正確に把握することができます。

まとめ

今回は、労務担当者1年目が意識して行うべき労働時間管理と時間外労働の適正化について、詳しく解説しました。業種や部署の特性を考慮し、適切な労働時間の設定を行うことが、非常に重要です。特に、営業職や製造現場などの業種では、生産性に直結するため、適切な労働時間の確保が必要不可欠です。

労働時間の適正化を図るためには、業務プロセスの見直しや改善を行うことが必要です。無駄な手続きや仕事の重複を削減し、効率的な業務遂行を促進することで、不必要な仕事や手続きを削減し、労働時間を抑制することができます。

また、業務の優先順位を明確化し、重要なタスクに集中することで、生産性を向上させることができます。ツールやシステムの導入による自動化や効率化を検討し、効率的なワークフローを確立することで、労働時間を短縮することが可能です。

さらに、従業員のワークライフバランスを考慮し、適切な休息やリフレッシュの機会を提供することが、非常に重要です。従業員の健康と働きやすさを確保することで、生産性と満足度が向上することが知られています。

労務担当者は、このようなポイントに留意しながら、労働時間の適正化や時間外労働の適正化を推進し、従業員の健康と会社の生産性を両立させる役割を果たす必要があります。労働環境の改善や労働時間の適正化は、企業の長期的な成長と従業員の幸福感にとって、非常に重要な要素となります。

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