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パワハラとは?パワハラ対策の基本 | 労務担当者1年目必読

KiteLab 編集部
2023.08.17

労務担当者として1年目を迎えると、様々な業務に取り組む中で、パワーハラスメント(パワハラ)という言葉を耳にすることがあるかもしれません。

パワハラとは、職場で上司や同僚によって行われる、力を使った嫌がらせやいじめのことを指します。パワハラは、被害者のメンタルヘルスに大きな影響を与え、深刻な社会問題となっています。また、企業にとっても、従業員の離職や労働組合からのクレーム、訴訟などの問題を引き起こす恐れがあります。そこで、労務担当者としては、パワハラ対策をしっかりと実施することが必要不可欠です。

本記事では、パワハラとは何か、どのような被害があるのか、そして、パワハラ対策の基本について解説します。1年目の労務担当者の方々にとって、パワハラ対策を理解し、実践するための一助となることを願っています。

パワーハラスメントとは? 

パワーハラスメントとは、職場における優越的な関係を背後にした言動で、業務上必要かつ相当な部分を超えて、労働者の就労環境を悪化させるものを指します。客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲と判断されるものについてはパワーハラスメントとは認定されません。

ただし、法的に認定されるかどうかだけではなく、職場の環境を快適なものとするため、パワーハラスメントを防ぐことが重要です。従業員が快適に働ける環境を整えることは、企業の責任であり義務です。企業は、パワーハラスメントを行っていると思われる場合には、適切に調査し、必要に応じて是正措置を講じることが求められます。また、労働者側も、パワーハラスメントを受けた場合には、相談を行い解決策を模索することが必要です。

パワーハラスメントの類型

パワーハラスメントには、身体的な攻撃や、精神的な攻撃、人間関係からの切り離しなど様々な類型があります。パワーハラスメントの類型について、それぞれ解説します。    

身体的な攻撃  

パワーハラスメントの1つに、身体的な攻撃、つまり暴力があります。従業員が抵抗できないことをいいことに、殴ったり蹴ったりすることは許されません。パワーハラスメントの範囲を超えている場合、警察に刑事告訴や被害届が提出される可能性があります。直接暴力を行った社員は逮捕・起訴される可能性があります。

また、会社側も使用者責任を負うため、民事上の損害賠償請求を受ける可能性があります。職場における暴力行為は絶対に許されません。

精神的な攻撃        

精神的な攻撃とは、上司が部下に対して暴言を吐くなどの行為を指します。名誉棄損や脅迫など、様々なケースがありますが、例えば「お前のような給料泥棒は会社にとって迷惑だ」といった暴言や、「死ね、殺す、辞めろ」といった業務に必要のない言葉が該当します。業務上必要のない暴言は避けることが大切です。

精神的な攻撃は、被害者に対して身体的な暴力を加えることと同様に、重大な影響を及ぼすことがあります。そのため、職場においては精神的な攻撃を行わないよう、努めるべきです。特に、上司と部下の間のパワーバランスが偏っている場合、上司の言動が部下にとってより大きなストレスとなる可能性があります。

職場での暴言や脅迫は、職場環境を悪化させ、働く人々のメンタルヘルスに悪影響を与えることがあります。そのため、職場においては、上司と部下のコミュニケーションが円滑に行われるよう、適切な指導や教育を行うことが大切です。

人間関係からの切り離し        

人間関係からの切り離しは、従業員1人だけを別室に隔離することや、会社で特定の社員を無視するなどの行為を行うことです。学校におけるいじめを想像してください。そのような行為は立派なパワーハラスメントになるということです。

また、人間関係からの切り離しは、従業員の人間関係を破壊し、孤立させる行為です。従業員の精神状態を悪化させ、最終的には会社を退職してしまうなど、本人の人生に大きなダメージを残すことになります。

過大な要求        

「過大な要求」とは、本人の能力を超えた仕事を与えたり、必要のない仕事をさせたりすることを指します。例えば、精神疾患で長期休暇明けの社員に過度な仕事をさせることや、仕事経験のない新卒に高いノルマを課すことが挙げられます。一部の管理職は、達成困難な課題を与えることが成長への近道だと考えていますが、これはパワーハラスメントにつながることがあります。

過小な要求        

過小な要求とは、社員の能力に見合わない低いレベルの仕事を与えることを指します。例えば、管理職を辞めさせるために、一般社員でもできる仕事ばかりを与えたり、専門職の従業員を専門性の低い部署に配置することなどが挙げられます。また、経営者や上司が気に入らない理由で仕事を与えないことも過小な要求に該当します。

個の侵害        

個の侵害とは、労働者のプライバシーに過度に干渉するパワーハラスメントのことです。例えば、労働者の性的嗜好や性自認を暴露したり、個人の私物を写真で撮影するなどの行為があります。労働者が仕事をする上で不快に感じるような言動は避けるべきです。

労務担当者が1年目にするべきパワハラ対策

労務担当者が1年目に取り組むべきパワーハラスメント対策として、パワーハラスメントの判例や法律を学ぶこと、法令に従って実施することが挙げられます。それぞれについて解説します。 

パワーハラスメントの判例を勉強する

パワーハラスメントとして裁判所が認定した事件と、認定されなかった事件を調べ、両方の判例を詳しく読むことが重要です。なぜなら、パワーハラスメントに関する法律が比較的新しいため、裁判所の判断が対策の根拠となることが多いからです。

判例には、一般的にはハラスメントに該当すると思われるものでも、ケースバイケースで認定されないものもあります。裁判官が判決を下す根拠をよく調べることが大切です。ただし、民事訴訟では和解で終了する場合もあるため、判例だけでは正しい動きを理解することが難しいかもしれません。

法律を勉強する        

パワーハラスメントに関する知識を得るために、法律を勉強するようにしましょう。パワーハラスメントに関する法律は、労働施策総合推進法という法律に定められています。条文を読み、しっかりと法律が要求している項目を理解しましょう。

法令が要求する事項を実施する

パワーハラスメントを防ぐためには、法令が要求する事項を実施する必要性があります。パワーハラスメントを防止すると共に、法令の要求事項を満たすというコンプライアンス管理の観点からもこの法令の要求事項を満たすことは重要です。       

パワハラ対策で必ずするべきこと

パワハラ対策で必ずするべきこととして、方針の策定や、相談窓口の設置、適切な対処など様々なことがあります。パワハラ対策で必ずするべきことを解説します。

パワーハラスメントを許さないという方針を明確化し発信する        

パワーハラスメントを絶対に許さないというメッセージを経営トップが発信し、方針を明確化することが重要です。なぜなら、経営トップがしっかりと対策を行うという姿勢を示さなければ、対策が前に進まないためです。

また、方針を定めていなければ現場はどのように動けばいいのかが分かりません。方針を示し、社員としてどのような「パワーハラスメントは絶対に許さない」というメッセージを経営トップから発信し、方針を明確化することが非常に重要です。これは、経営トップが積極的に対策を行う姿勢を示すことで、パワーハラスメントに対する対策が進むためです。

また、方針を定めていなければ、現場の社員たちはどのように対処すればよいのかわかりません。そのため、メッセージを通じて、社員たちが正しい行動を取るための指針を示すことが必要です。行動を取ることが正しいのかをメッセージで発信してください。

相談窓口を設置すること    

パワーハラスメントの被害を受けた従業員が相談できるよう、相談窓口を設置し、周知徹底することが必要です。相談窓口がなければ被害の申告ができないため、法律によって設置が義務付けられています。具体的には、会社のPCの共有フォルダや掲示板に連絡先を記載し、従業員に周知することができます。被害を受けた従業員が安心して相談できる環境を整備することが大切です。

パワーハラスメントに対する適切な処置がとれる体制整備        

パワーハラスメントに関する適切な処置を取るために、体制を整備してください。就業規則には、パワーハラスメントを行った従業員に対する処罰について明記する必要があります。相談窓口があっても、調査を行い、適切な処置をとれる体制がなければ機能しません。相談者からパワーハラスメントを受けたという被害の申告があった場合には、必ず対応できるような体制を整えましょう。

相談してきた人の秘密を守ること

パワーハラスメントの相談を受けた人のプライバシーを守ることが必要です。被害者にとって、この問題は深刻なものであり、情報が漏れると信頼感が失われ、精神的苦痛や社会的信用の損失につながる可能性があります。

また、情報が漏れたことで、さらなるハラスメント行為が行われる可能性もあります。したがって、パワーハラスメントに関する相談を受けた場合には、秘密を厳守することが非常に重要です。

まとめ    

今回は、労務担当者1年目が知るべきパワーハラスメント対策について解説しました。

パワーハラスメントは深刻な問題であり、労働者がパワーハラスメントを受けたことにより離職するといった企業の収益に大きなダメージを与えることになります。特にパワーハラスメント対策において労務担当者1年目の方が注目すべき点は、法令の要求する体制を整備することです。

パワーハラスメントに関する法律が改正され、中小企業にも相談窓口の実施などが義務付けられています。パワーハラスメントは、被害者も加害者も、社会人生命を絶たれるほどの大きな問題となることがあります。

しっかりと法令を勉強し、法令の要求する事項を満たし、パワーハラスメント対策を行いましょう。

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