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労務担当者1年目が知るべき労働訴訟の種類

KiteLab 編集部
2023.11.27

労務担当者1年目が考えるべき課題として、従業員に労働訴訟を起こされた場合にどのような行動をとるべきなのかという課題があります。労務担当者1年目から全面的に訴訟の対応することはありませんが、経験を積めばいずれは自分自身が担当者となります。

今回は、労務担当者1年目が知るべき、労働訴訟への対応方法について解説します。

労務担当者1年目が知るべき労働訴訟の種類

労働訴訟には、労働審判と、通常の民事訴訟の2種類が存在しています。労働訴訟の種類とその特徴について解説します。

労働審判

労働審判の特徴は、非公開であり、平均で3か月以内に決着がつくこと、原則3回の審議で決着がつくことですが、短期間で決着がつくため、経営者は訴状が届いたら即座に対応する必要があります。
実際には、1回目の審議で趨勢が決定してしまう傾向があるため、経営者側は1回目から裁判官や労働審判員に対して、しっかりと証拠や証言を行う必要があります。
また、労働審判の結果に納得がいかない場合は、地方裁判所の第一審に判断を委ねることができます。

通常の民事訴訟

通常の民事訴訟では、労働審判とは異なり、1年程度の時間がかかる傾向があります。

また、労働審判は非公開でしたが、通常の民事訴訟は全国民が知る権利を有しているため、公開されます。そのため、会社のイメージや訴訟の内容によっては、民事訴訟に至る前に和解交渉などで紛争を回避することもあります。

労働審判への対応方法

労働審判への対応方法としては、訴状が届いてから、会社内で会議を開き、対応を決めるなど、様々な対応があります。それぞれについて解説します。

訴状が届く

訴状が届いたら、まず中身を確認しましょう。労働審判の資料は分厚くなる傾向があるため、要点を整理することが大切です。

例えば、訴状には訴因が明記されています。訴因を確認し、どのような問題があるのかを洗い出すことが必要です。まず相手がなぜ裁判を起こしてきたのかを整理することが重要です。

会社内で経営陣と人事部門で緊急会議を開く

会社内で緊急会議を開き、経営陣と人事部門が協力して、訴状が届いた場合の緊急対応を確認しましょう。訴状には回答期限がありますので、迅速な対応が求められます。会議では、訴状に記載された内容や対応策を詳しく協議し、必要なメンバーを参加させましょう。

また、正確な回答を行うためには、事実確認が欠かせません。人事部門は、訴状に関連する書類やデータを収集し、正確な回答を準備しましょう。
社内での整理が終わったら、弁護士に連絡を取り、訴訟に対応します。実務的には、弁護士に加わってもらいつつ、作戦を練ることが多くなります。

労働審判に出席

労務担当者が1年目の場合、労働審判に出席することはまれです。通常は、弁護士や経営者、人事部長や人事課長などのベテランが出席します。
ただし、当日に必要な書類の作成など、準備は担当することがあります。

審判(判決のようなもの)

労働審判が終わったら、審判という判決のようなものが出ます。

審判に納得いかない場合、民事訴訟へ

審判に納得がいかない場合は、民事訴訟へと移行します。

通常の民事訴訟への対応方法

通常の民事訴訟の場合も、労働審判と同じくいきなり訴状が届くパターンがあります。労働審判とは異なり、日程調整には余裕があるだけではなく、経営者本人が参加せずに、代理人弁護士のみが証人尋問以外は代行してくれるという特徴があります。

訴状が届く

訴状が届いたら、中身を確認してください。

会社内で事実確認

会社内で訴状の内容を確認し、事実確認をしてください。

反論書面を弁護士と作成

反論書面を作成するためには、弁護士に相談することをおすすめします。
ただし、弁護士を探すのは簡単ではないため、顧問契約を結んだり、弁護士と知り合いになったりするなど、人脈を作ることが大切です。紹介以外では事件を受任しない弁護士もいるため、注意が必要です。

また、法テラスは個人向けの弁護士紹介所であり、企業が依頼することはできませんので、ご注意ください。

証人尋問

証人尋問を行います。証人尋問に進む前に、和解できないかどうかを裁判官に聞かれることがあります。

和解又は判決

証人尋問が終了すると、裁判官から原告と被告に対して、和解勧告が出ることがあります。
和解が成立すれば、双方で金額を調整し、折り合った金額を支払うことで裁判は終了します。
一方、和解が成立しない場合は、判決が確定します。

労働訴訟が起こる原因

労働訴訟が起こる原因として、無理やりな解雇や、証拠を欠いた懲罰、従業員の給料を同意なく下げてしまうなどの原因があります。

裁判が起こってしまう原因について解説します。

無理やりな解雇

無理やりな解雇は、労働者から裁判を起こされる可能性が高くなります。なぜなら、無理やりな解雇は法律に違反する可能性が高く、労働者に対する不当な扱いと見なされるため、裁判を起こされる確率が高くなるからです。

労働者の解雇は、雇用関係の終了に関する重要な問題であり、雇用主は適切な手続きを踏んで行う必要があります。労働者が不当に解雇された場合、法律に基づいて訴訟を起こすことができます。
不当な解雇には、適切な理由がない場合、適切な手続きを踏んでいない場合、または労働者に対する差別的な解雇の場合があります。これらの場合には、労働者が裁判を起こし、賠償金や再雇用の要求などを求めることができます。したがって、雇用主は適切な手続きを踏んで解雇することが重要です。

証拠を欠いた懲罰

従業員に対して、証拠を欠いた懲罰を与えると、裁判を起こされる可能性が高くなります。その理由は、証拠を欠いた懲罰は、不当な扱いと見なされる可能性があるためです。

従業員は、裁判を起こして、賠償金や損害賠償などを求めることができます。従業員に懲罰を与える場合、雇用主は、適切な手順を踏んで、証拠を収集し、その懲罰が適切であることを確認する必要があります。

たとえば、従業員が規則に違反したと主張する場合、その規則が明確に定義されていることや、従業員が規則に違反したことを示す証拠があることが必要です。適切な手順が踏まれずに、違反が明らかでない場合、従業員に対する懲罰は不当なものとなります。

また、労働者に対する懲罰が差別的な場合、例えば、性別、人種、国籍、宗教などに基づく差別があった場合、従業員は差別的な扱いを受けたと主張して裁判を起こすことができます。したがって、証拠のない懲罰は、不当な扱いと見なされる可能性が高く、裁判を起こされる確率が高くなります。雇用主は、適切な手順を踏んで懲罰を与えることが重要です。

従業員の給料を同意なく下げること

従業員の給料を同意なく下げることは、労働訴訟を起こす引き金を引くことになります。従業員の給料を同意なしに減額することは、労働者にとって不利益な変更であり、不当な扱いを受けたと感じる可能性が高くなるためです。そのため、労働者は裁判を起こして賃金の差額や損害賠償などを求めることができます。
労働者に対する給料の減額は、従業員の同意なしに行われた場合、法的には無効となる確率が高くなります。従業員の同意を求める場合、雇用主は変更の理由や影響を説明する必要があります。

また、従業員が給料の減額に同意した場合でも、その減額が労働基準法、労働契約法に違反している場合、労働者は法的措置を取ることができます。

労働者に対して給料を減額する場合、雇用主は、法的な規制や契約条件に従って行動する必要があります。したがって、従業員の同意なく給料を下げることは、労働訴訟を起こす引き金を引く可能性が高くなります。

ハラスメント行為の放置

ハラスメント行為を放置することは、労働裁判につながっていきます。なぜなら、ハラスメント行為を放置することは、被害者にとって不当な扱いと見なされ、労働環境を悪化させることになるからです。

被害者が雇用主に対して訴訟を起こす可能性が高くなります。雇用主は、従業員がハラスメント行為を受けたと報告した場合、適切な手順を踏んで対応する必要があります。ハラスメント行為を放置することは、従業員にとってさらなるストレスや不安を引き起こす可能性があり、従業員の離職や精神的健康問題の原因にもなります。

労働裁判では、ハラスメント行為を放置したことが労働環境を悪化させ、従業員に損害を与えたことを証明することができれば、従業員が勝訴する可能性が高くなります。また、雇用主が適切な措置を講じなかった場合、雇用主が法的な責任を負うこともあるのです。

安全衛生管理の不備

安全衛生管理の不備は、労働訴訟の引き金となる可能性があります。なぜなら、安全衛生管理の不備は従業員の安全と健康に悪影響を与える可能性があるため、労働者が法的措置を取る理由となるからです。
従業員は、安全で健康的な労働環境の提供を受ける権利を有しています。雇用主は、従業員が安全に仕事を行うことができるよう、適切な安全衛生管理を行う義務があります。

しかし、安全衛生管理が不十分である場合、労働者は労働災害や健康被害に遭う可能性があります。従業員が労働災害や健康被害に遭った場合、雇用主に対して損害賠償を求めることができます。
また、従業員が労働災害や健康被害に遭った原因が安全衛生管理の不備にある場合、従業員は、雇用主に対して適切な安全衛生管理を行うよう求めることもできます。

長時間労働

長時間労働は、労働裁判のきっかけとなる可能性が非常に高い問題です。なぜなら、長時間労働は、過労死を引き起こす可能性があるためです。
そのため、労務担当者は1年目から長時間労働をなくすように業務を改善していく必要性があります。

残業未払い

残業未払いとは、労働者が法律で定められた労働時間を超えて働いたにもかかわらず、適切な残業代が支払われていないことを意味します。
残業未払いは、訴訟が起こりやすい問題です。なぜなら、立証が比較的容易であり、弁護士側も着手金を無料で行うことがあるからです。

労働者は、残業に対して適切な報酬を受け取る権利があります。したがって、労働者が残業未払いの問題に直面した場合、労働訴訟を起こす可能性があります。

裁判が起こる前に未然に防ぐ方法を考えよう!

労務担当者1年目の段階から、訴訟が起こらないようにしっかりと法令を守れるように労務担当者は考え抜き、対策を実行する必要性があります。裁判が起こる前に、その原因を解消するような仕事をしましょう。

まとめ

労働訴訟は、企業側の法令順守意識が甘いと起こりやすい問題の1つです。しっかりと勉強して知識を得て、労働紛争化する前に対策をしましょう。労務担当者1年目からしっかりと対策をしていく必要性があります。

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